中古車のチェックポイント
「最近の中古車は程度が良くなった」と言われていますが、私が査定士を始めたころに比べるとその質は格段に向上したことは間違いありません。
当時は、メーター戻し(走行距離メーターを巻き戻し、低走行車両と見せかける)やニコイチ(リアから突っ込まれた車両Aにフロントから事故った車両Bのリア部分を移植するなど)も珍しくなかったが今では見かけることは無くなった。
しかし、あくまで中古車。
購入後のトラブルを少しでも避けるため、だれでも簡単にチェックできるポイントを紹介します。
1外装
これは言わずとも気にするところだと思いますが、特に注意する点を列挙します。
各部をよくチェックしてもし塗装のムラなどがあれば修理をしている可能性が高いです。
キレイに修復されていれば修理自体が悪い事ではないですが、どの程度の修復があったのかなどはキチンと確認しておくとよいでしょう。
部品毎に色ムラはないか
全体を見渡して色ムラや凹みがないかをチェックします。ポイントはできるだけ太陽の出ている昼間に見に行きましょう。
暗い時間になってしまう場合はせめて照明のある環境で確認するようにしましょう。(可能ならガソリンスタンドなど明るい場所で確認するのも有りです)
「修復歴有」の定義をご存知でしょうか?
これは自動車公正取引協議会の定める9箇所の部品(下図参照)を交換または修正した車両の事であり、修理をしていたとしてもこの9部品さえ交換していなければ「修復歴無」として販売されるのです。
言い換えれば、ドア・トランク・ボンネットやフェンダー・バンパー類・フロントガラスなどを交換していたとしても事故車扱いはされないのです。
そのため「修復歴無」と謳われている車両でもしっかり自分の目で確かめるとともに、修理歴を販売店に確認することが大切です!
参考までに、プロは小キズや僅かな色ムラを発見するために特殊青色LEDライト(光の波長が短いため、歪みがシャープに浮き上がる)などを使用しています。
ネットで2,000~3,000円程度でありますので、徹底的にチェックしたい!という方は持参してみては?!
- ぶつけやすい場所を要チェック
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左フロント
右ハンドル車の場合は左フロント、左ハン車は右フロントをHITしやすいポイントです。
リアバンパー
車庫入れの際などにHITしている可能性が高いです。
ミラー、ドアのミミ
意外と見落としがちですが「ミラーを電柱に・・」「ドアを明けたときにゴツンと・・」と細かな傷が多い箇所です。
床下
車高の低い車やホイルベースの長い車は底づきしやすいので、覗き込み大きくHITした後がないか確認しましょう。
天井
これはワンボックスやSUVなど車高の高い車は念のためチェックしましょう。稀にですが、立体駐車場などでHITしていることもあります。
2内装
シートの破れやヤレ、ハンドル・シフトレバーなどの確認はもちろんですが、合せて次の4点も忘れないようにしましょう。
灰皿の使用跡をみる
タバコの臭いは社内クリーニングを行えばある程度除去できますが、カーペットやシートに染み込んだヤニ汚れはそう簡単には落ちません。
ヤニ汚れは全体的に汚れていくので元々こんな色なのかな?と勘違いしてしまうこともあります。内装チェックの際は脚マットをめくってみてください。マットの下は新車時の色に近いのでその違いが見て取れると思います。
また、灰皿に使用跡があるかどうかでもその車が喫煙車であったことがわかります。
ドア・窓ゴムの劣化
ドアや窓枠のゴムは良くチェックします。何百回・何千回という開閉を行い、雨風にさらされるため硬化したりひび割れが出ていることがあります。
年式が落ちていればある程度はしかたがありませんが、交換すると意外と高額ですし、最悪の場合雨漏りしてしまいますのでこの部分も状態の良い車両を選ぶとよいでしょう。
ナビ、装飾品の取り付け跡
前オーナーがカーナビや携帯フォルダなど取り付ける際に両面テープやネジ留をしていた可能性があります。ダッシュボード周りやセンターコンソールは注意深く確認しましょう。
トランクルームも忘れずに
意外と忘れがちなのがトランクルームの確認です。
シミや汚れがないかを確認するのはもちろんのこと、スペアタイヤ・車載工具・ジャッキなどが揃っていることを確認しましょう。
いざパンクしたときにトランクを開けたらスペアや工具がないと悲惨ですからね。
3オーディオ、電装品
オーディオやカーナビは実際に操作してみて不具合がないかを確認しましょう。
また、オーディオのチェックには普段聞いているCDを持参します。
複数の車を比較する場合同一音源で比較するとオーディオの質の良し悪しが分かりやすいですよ!
各ボタンは正常か
各ボタンが正確に反応するか、最近ではタッチパネルの車種もあるのでキチンと反応するか。
画面の格納やCDの出し入れなど機械的な部分も異音や突っかかりがないか。
ハンドルに音量や選曲ボタンがある場合は反応するか確認。社外オーディオに変わっている場合はハンドルの連動機能が死んでいることが多いです。
地図情報の更新は
ナビの地図更新時期は必ず確認しましょう。わざわざ最新のものに更新をしている車両は珍しいですが、数年ならまだしも10年も前のデータではさすがに厳しいですよね。
全てのスピーカーから音が出ているか
各ドアの下やダッシュボード、リアダッシュなどに設置されたスピーカーの全てから音がでているかを確認します。断線したりオーディオを交換した際の配線不良がある可能性があります。
また、少し音量をあげて「音割れ」がないかも確認しましょう、年月が経つとスピーカーが劣化して亀裂が入り音割れしていることがよく有ります。
4エンジン、駆動系
車の心臓とも言えるエンジンですが、一般の方がその正常性を完璧に確認するのは難しいです。
ここでは最低限チェックするべきポイントを整理しました。
オイル汚れはないか
エンジン関係のトラブルで最も多いのが、オイル漏れです。
エンジンの内部は高速でピストンが動くため、摩擦対策のためにエンジンオイルを使用して潤滑させています。エンジンを組み立てる際には部材と部材の間にガスケットと呼ばれるシートを噛ませることにより金属のブロックとブロックを密着させて気密性を保ち、オイル漏れなどを防ぎます。
しかし、高温状態の続く環境では徐々にこのガスケットが痛み最終的にはオイル漏れを起こしてしまします。
オイル交換の頻度は
エンジンオイルは3,000~5,000kmに一度の頻度で交換するのがよいですが、オーナーによっては1万キロ以上も交換していない場合や下手をすると納車してから一度も交換したことがない。という強者もいます。
メンテナンス記録があればベストですが、なければボンネット内にオイル交換時の走行距離が張ってある場合もあるので確認しましょう。
オイル交換も2,000ccのエンジンで1回5,000円~10,000円はしますので、定期的にオイル交換されている車両はそれだけ愛情と手間がかけられてきたと考えてよいでしょう。
異音やベルト鳴きはないか
アイドリング時はもちろん、空ぶかしをしたときにも異音やベルト鳴きが無いかどうか確認します。
また、タイミングベルトの交換は10万キロが目安といわれていますので、過走行の車両の場合はキチンとチェックしましょう。
あとはパワステですね。ハンドルを左右に全開切って異音がないかどうか確認してください。
黒煙や異臭、異音はしないか
エンジン(特にオイル周り)に異常がある場合、排気が黒煙になったり異臭が発生します。ここまでの症状がでている車はだいぶ重症ですが念のため排気ガスは確認しておきます。
また、空ぶかしをしたときにやたら音がうるさいときはマフラーが腐食して穴が開いていることが考えられます。
また、マフラーから水滴が垂れる(もしくは水蒸気がもくもく)ことがありますが、これは正常なことなのでご心配なく。
ちょっと難しい説明をすると、理論空燃比でガソリンが燃焼するとCO2(二酸化炭素)とあわせてそのガソリンと同等量の水が発生します。
ガソリンに含まれる水素と酸素が反応するからで何ら異常なことではありません。
気になるショックはないか
これはミッションの正常性チェックです。
Pレンジ→Dレンジに入れた際に大きなショックが無いか確認します。
ここでショックが出ると、AT内部のオイルやスプリングなどがヘタっている可能性があります。
ATオイルも20,000km目処で交換とされていますので、記録簿があればチェックしておきましょう。
脅かすわけではありませんが、ATは故障すると30万円以上の高額修理になりますのでしっかりと試乗しましょう。
試乗の際は「バック」「ロー(L)、セカンド(S)の切り替え」「キックダウン」などさまざまなシチュエーションをテストしましょう。
バッテリー、オルタネーター(発電機)
まずエンジンを停止した状態でライトとフォグを付けます。ここでライトが暗かったり、明るさが安定しない場合はバッテリーが消耗している可能性が高いです。
また、アイドリングさせているときに明るさがバラつくようだとオルタネーター(発電機)の不具合も考えられますので、念のため確認しましょう。
5ブレーキ、ハンドル
最後に、ブレーキとハンドルまわりです。
ここは不具合があると命に関わることもありますし、ハンドルは違和感があると運転するたびにストレスの元となります。
ブレーキディスクとブレーキパッド
まず、動かさなくてもわかる範囲としてはパッドの残量とディスク(ローター)の摩耗です。
パッドは残量確認方法がわからなければ店員に確認すれば測定してくれます。新品時で9~10mmですので3mm以下になっていたら交換時期です。そこまで減っていなくても納車時に新品に交換してもらうなど交渉材料としてもよいでしょう。
ブレーキディスク(ローター)はまず表面が凸凹になっていないか確認します。
ディスクが完全に冷えていることを確認してから触ってみるとわかりやすいです。これもひどくなるとブレーキを掛けたときにハンドルがブレたりします。
ブレーキオイル
ブレーキオイルは通常走行で2年に一度、高速走行が多い場合やハードなブレーキを多様している場合は半年?1年の頻度で行います。これも交換頻度を確認しましょう。
オイルがヘタっていると十分な粘度が保たれずブレーキの効きが悪くなったり、空気の気泡が混じり熱を持った際にそれが膨張し極端に効きが悪くなったりします。ここも安全性に直結する部分なので納車前にオイル交換をしてもらうことを強くおすすめします。
サイドブレーキ
サイドブレーキの効きが弱い車を良く目にします。
最近はオートマ車が多いので、パーキングレンジに入れて停車していると気が付きにくいですが停車時のミッションへの負担軽減と安全性の観点からキチンと確認をしましょう。
確認方法はキチンとサイドブレーキを引き(足踏み式は踏み込む)その状態でDレンジに入れます。このとき車が止まったままなら問題ありませんが、そのままツ?っと進んでしまうようだとサイドブレーキの意味を成していません。
調整をしてもらうか、必要に応じてサイドブレーキのパッドを交換してもらいましょう。
以上が、中古車を購入する際に最低限見ておいたほうがよいポイントですので、是非お店に行く前にチェックしてみてくださいね。
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オークション評価の信ぴょう性